オブジェ制作 TEAM a・a・a
二瓶  隆さん Takashi Nihei 小西 隆子さん Takako Konishi
秋田市秋田市中通2-6-1 秋田ビューホテル1F TEL.018-834-4922(日比谷花壇内)

 そのオブジェは一帯に不思議な空気をまき散らしていた。ショッキングピンクの妖しげに伸びた角は生殖器のように伸びて、ドキッとするなまめかしさがある。高さ2mほどのオブジェ群は「silent」という名がつけられていた。まさに静かなオブジェだが、一帯はオブジェが放つオーラに満ちているようにさえ見える。 

自由に表現してみたい

 このオブジェは昨年十月に、秋田駅前フォーラスのフロアに突然出現した。そう、突然出現したかと思うと、卵の殻を破り、芽を出して、花まで咲いたのである。この不思議なオブジェは生花店に勤めている二瓶さんと小西さんの合作によるものである。二瓶さんは店長として、小西さんはその下でブーケを制作している。二人が一連のオブジェをつくりはじめたのは昨年の十月だった。つまり、これが最初の作品ということである。そもそもアートデザインをやりたかったという二瓶さんだが、店長ともなればデスクワークや営業の仕事が多く、なかなか制作現場に落ち着いてはいられない。「自分の感じていることを表現したい」という思いがうっ積していったという。そして、それは小西さんも同じだった。ブーケにとどまらない花への思いを何とか表現したかったという、この思いが一つの方向に向かって外に飛び出した、それがこのオブジェなのだ。

すべての根源はエロス 

 テーマはエロス。すべてのパワーの根源はエロスであると、二人の意見も一致していた。最初の作品「ウニ」は予想以上にいい仕上がりだった。そして、オブジェを置くスペースも駅前のフォーラスをイメージしていた。
 フォーラスの客は若者が多く、新しいもの、何かがある、そんなパワーを感じさせる場所だ。実際、通りがかる若者たちは「ウニ」に興味を示していた。「何だろう?」と思わせるオブジェ。観客にアクションを起こさせることができれば、オブジェは成功なのだという。

街角にオブジェを

 そして「ウニ」の次は、「egg」「born」「silent」のシリーズを作った。このシリーズは生命の誕生、芽吹き、そして成熟期を表現している。ラッピングペーパーを下地にして、ディスプレイの廃材を駆使し、ペンキを塗って仕上げた。仕事が終わってからの制作は深夜にも及ぶが、一旦作り始めたら夢中になってしまう。作りたいという衝動のおもむくまま紙を切り、ペンキを塗った。制作期間は二〜三日というスピードだ。
 もともとは東京生まれだという二瓶さんが秋田に来て感じたことは「空間が広い」ということだ。イメージが広がる、ゆったりした空間だという。この街角のあちこちにエロスのパワーを放つオブジェがあったら秋田の街も面白くなる。オブジェを見る人とイメージを共有することで、新しいパワーが生まれる、TEAMa・a・aの夢はまだ始まったばかりだ。