トレーの上に散らばった小さな粒を拾い集めて細い糸に通す。きらめく鎖、色とりどりの玉…。一つ一つのかけらが組み合わさって、新しい形が見えてくる。そして、新しい喜びが見えてくる。

佐藤 香奈さん Kana Sato
LUCE(ルーチェ) ファッションアベニューAD 2F 秋田市大町二丁目2-11 TEL.018-867-2011

 「見る人、身につける人に楽しんでもらえるアクセサリーを作りたい」
 天井から透明な大粒のビーズが降り注ぐ。雨をイメージしてディスプレーしたそのビーズは光を受けて、きらきらと輝いた。テーブルの上では「赤ずきんちゃんの森」「エメラルドの湖」「水玉ダンス」などと題したさまざまなアクセサリーが目を奪う。まるで宝石箱をひっくり返したように、きらびやかな店内…。個性的なデザインのアクセサリーが美しさを主張している。
 「完成したアクセサリーが素敵であれば、手法にはこだわらない。作り方が簡単か複雑かで価値を決めようとも思わない。私らしくやればいいかなと思う。作品の雰囲気が結果だと考えている」と話す。はやりに流されない、気品と個性を大切にするデザインにこだわり、オリジナルアクセサリーの店を構えて半年が過ぎた。お客様がお気に入りと出合う瞬間にみせる、こぼれるような笑顔を何度も見てきた。
 材料の仕入れ、製造、販売を一人でこなしながら、ビーズアクセサリー教室の講師も務める。多忙な日々の中、出会った人を通じて学んだことは大きいという。「人生の主人公は自分。人それぞれ、主人公として満足できる日々を過ごせたらいい。年齢にとらわれることなく、お気に入りのアクセサリーを身につけて人生を楽しんでいる人はいきいきとしていて素敵」
 パール、石、ガラス、金属…。ビーズの素材はさまざま。イタリア、チェコなど産地も広い。それらをデザインのイメージに合わせて一つ一つ組み合わせていく。「ビーズの魅力を上手く引き出すことで、末永く愛される作品ができたら」
 希望の粒をつなぎ合わせるようにさらなる夢をかたち作っている。