秋田杉が山を覆い、吹き渡る風に山の息吹が満ちる大地。木に恵まれた土地だから、木の恵みをあますことなく大切に…。谷藤さんが作品に込める思いは、秋田で暮らす私たちへのメッセージなのかもしれない。

ウッディさんない新製品開発担当 谷藤 昌平さん Syohei Tanifuji
ウッディさんない 横手市山内土渕字小目倉沢34-8 TEL.0182-53-2600

顔写真 古くから林業が盛んな横手市山内。秋田杉の林を吹き抜ける風に鳥が歌い、生き物たちが躍動する山間の自然豊かなこの土地で、新しい命は育まれている。その一部を紹介すると、ライオン、ペンギン、ゴリラ、サイ、ワニ!? それらは、不要になった木材でつくられたかわいらしい動物たちだ。
 「ウッディさんない」は、木製品の加工、設計・施工などを行う工場で、谷藤さんは隣接する「ウッディプラザ木の香」で、工場から出た端材や、山で出た秋田杉間伐材を活用して製品を開発、販売している。動物、ロボット、乗り物、花台など、作品の種類はさまざま。「端材も間伐材も、本来は焼却処分されてしまうものだが、捨てないで加工すれば十年はもつ。捨てる木材に新しい命を与えることが私の仕事」。間伐材は、年輪や節に特徴があり、「木目の曲がりが面白い」という。工場や山で不要とされた癖や個性が二次加工することで魅力に変わるのだ。
 かつて木工家具を設計していた谷藤さん。動物なども図面をひいて制作する。図面に忠実に木を加工して組み立てるのが、谷藤さんの“親方”こと、益子さん。数々の傑作を生み出してきた二人の息はぴったりだ。
 「お客様や子供たちから『間伐材って何? なぜ木を間引くの?』などと質問されることは多い。植林した森は、間引いて手入れしないと荒れてしまう。林業が衰退し、山に入って手入れする人が少なくなってしまった今、山と人間が長年築いてきた関係や、自然の恵みのありがたさも広めたい」と話す。