夢追い人ゆった 浅野 裕さん Yutaka Asano
きりこ工房 http://www4.ocn.ne.jp/~kirikobo/
秋田県北秋田市栄字摩当13 TEL.0186-62-0195

顔写真 目の前を摩当川が流れるのどかな地に、木の香り芳しい「きりこ工房」がある。ここで、浅野裕さんはお勤めのかたわら、十年ほど前から桐材を使った作品を作り続けている。自らを夢追い人と呼ぶ浅野さんは、「見て優しく、使っても優しいものを作りたかった」と話す。
 作り始めたのは、桐材を大切にしたい気持ちからだった。三十年ほど前、地区の若いグループが育て始めた桐が、時代の流れによって二束三文で手放さなければならなくなった時、メンバーだった浅野さんは、その桐材を手に入れ、最後まで使い切るためのモノづくりを思いついたのだという。
 最初に作ったのが、ぽっくりにも似たかわいい「きりこ」。思わず触ってみたくなる、ふっくらとした形が印象的だ。やわらかさと白さが特徴の桐材。作りたてはもちろん美しいが、時を経てあめ色になっていく作品には味と艶がある。  
 桐の優しさを音で楽しめるのが「いやしの輪」。握って振るとコトコトと鳴る音がなんともいえず心地良い。「お母さんのお腹にいる赤ちゃんに聞かせてほしい」とほほ笑む浅野さんの顔には、作品と同じぬくもりがあふれている。
 来年の春には、工房近くにあずま屋を完成させ、「つみき」や「わなげ」「パズル」など桐の作品はもちろん、浅野さんの趣味である山野草とウドやイチゴも並ぶ予定。浅野さんの夢はこれからもっと、たくさんの笑顔を咲かせるだろう。