小松 俊彦さん Toshihiko Komatsu
秋田県にかほ市横根79

顔写真 作った人の名前がわかる職人のバッグを、一度は持ってみたい。小松俊彦さんの革もの工房を訪れ、ハンドメイドのバッグを見ると、そう思わずにはいられなくなる。
 「日本中に同じ形のバッグがあふれていますよね。作り手がわかるバッグは、そういうものとはちがって、パーツの交換も、修理もできるので長く使えるんです」と話す小松さん。作るバッグは厚みがあり、見るからに頑丈そうだ。「底が円形になっているでしょう。これは角ブカティ型といって、強度があります」
 強いだけではない。小松さんのバッグはすべて多脂牛という油分の多い革で作られていて、水を弾くようなつややかな光沢が美しい。表面加工はしていない。使い込むほどにスエードのようになってきて、革本来の味わいが際立ってくるからだ。
 「上っ面じゃない、本物の良さを実感してほしい」という小松さんの思いは、定番のバッグたちに見事に表現され、見る人を引きつける。
 小松さんは学生だった19歳の時に、メキシコに遊学した。そこで革の魅力に目覚め、以来、人生を革とともに歩いてきた。パーツや製法にオリジナルな工夫を施し作るバッグはすべて、小松さんが納得した形のみ。そこに職人としての自負がある。女性用のバッグの他に、男性用のかばん、財布、ベルトなども作っている。そんな小松さんの展示即売会を楽しみにしているファンが、日本中にいる。