ひとつものや工房 福 岩渕 弘子さん Hiroko Iwabuchi
大館市岩瀬字谷地の平3-247 TEL.0186-54-6600

顔写真 「誰にでもできるものをつくって、古布の再利用を広めていきたいと思っています」
 岩渕弘子さんは主婦としての日常も大切にしながら、自宅のひと部屋を工房に、昔の着物や帯などで、人形やかばん、服や小物をつくっている。
 きっかけは10年ほど前、当時、入退院を繰り返していた岩渕さんのお母様のひと言だったという。
「家にある昔からの着物の生かし方を考えてほしい」
 手芸は特に趣味ではなかったという岩渕さんだが、古布の再利用に力を注いでいくことを決め活動を始めた。
 東京の展示会にも出向く中で、岩渕さんは秋田を表現したいという思いから、昔の田園風景と生活を思わせる素朴な人形を制作。それが初めての作品となった。
 また、岩渕さんは能の謡を習っていて、そのイメージから生まれたものに能舞人形がある。綿棒で顔を、帯で装束をつくり、みやびな情緒を表現。色と形に清らかさが漂い、見る人を魅了する。また、かばんは持ちやすく丈夫で、ていねいな仕上げの小物のひとつひとつに真摯な思いが込められている。
 秋田をはじめ、盛岡や弘前、東京などで年に4、5回の展示会を行っている岩渕さん。人との出会いが何よりもうれしいと話す。
「自分はいつでも発展途上人なんだと思って、じわーっと長く作品をつくり続けていきたい」
 岩渕さんのその思いは、きっと誰かに続いていく。