に囲まれて、今度は何を作ろうかと
考えている時が一番しあわせです


キルター 鈴木恵子さん Keiko Suzuki 秋田市寺内蛭根


 ハーブの可憐な花がのどかさを誘う鈴木家の玄関口。愛犬クッキーがまっ先に出迎えに来て居間に案内してくれた。アンティークの食器棚とガラス器、キルトをコラージュした絵、ヴィクトリア調のレースが束になって掛けられているキルトラックなど、居間全体が恵子さんのお気に入りのもので埋まっているといった感じだ。
 「アンティークといっても、実際に手に触れて楽しみたいから、普段の生活で使っています。キルトもそう。作ったものはどんどん使うようにしています。自然素材だから、使うほど洗うほどいい色が出てくるんですよ」

 
はじめは子供の弁当袋から

 恵子さんがキルトをはじめたのは15年ほど前のことだった。子供たちが幼稚園に入園するというので弁当袋などの袋ものを用意しなければならなかった。しかし、既製品の袋物はどうも気に入らない。それならと古い洋服をほどいて、見よう見まねではじめたが、専門店や専門書もなく手探りの状態だった。そんな折、秋田における草分け的存在の木村順子さん(仙台市在住)の教室が開催され、自己流から脱皮するチャンスを得たのである。

 「これは私の宝物。今までのすべてが詰まっているの」と言って、恵子さんがデザイン帳を見せてくれた。キルトの文様が製図化されて、継ぎ合わせる布の寸法や個数が細かく書かれている。

 恵子さんはキルターとしてはスピードが早い方だというが、それでも一枚のベッドカバーを仕上げるにはたっぷり3〜4カ月かかるという。

 
仲間たちとの作品展も楽しみ

 秋田市の自宅や北部公民館などでキルトの教室を持つようになってから10年。今年もグループ・トライアングルは50人の生徒たちと作品展を開くという。

 「大好きな布に囲まれて、デザインを考えている時が至福の時。でも、それに手がなかなか追いつかなくて」と恵子さん。