枝葉やシダ、花、ワラビ、キノコ、サンゴ、フジツボなど、野山や海の自然の造形をモチーフに、イヤリング、ネックレス、ブローチ、髪飾りなどのアクセサリーを作っている藤田美帆さん。
 作品に目を凝らすと、細かい編み目に驚くだろう。葉の一枚一枚や円の一つ一つが、息をのむほどの緻密な編み目によって形作られている。
 材料はコットン100%のレース糸。道具は極細のかぎ針。作品の多くは、なるべく糸処理の跡を残さないようにと、一筆書きの要領で1本の糸を最後まで切らずに編んだものだ。
 「自然のものを編んでみたいと始めた編み物。小さいころから自然が好きで、家の周りで草木や木の実を拾って遊んでいた」。潟上市にある自宅兼工房の周りは緑が多く、少し足を延ばせば海もある。「モチーフは身近にたくさんある。本物を見ながら創作できるのは、自然が豊かなここならでは」と笑う。
 作品の色も“お手製”だ。糸を玉ネギの皮やヨモギを使って草木染めにする。淡いブルーは、秋田市の太平山で採取した「臭木」という植物の実で染めたものだ。
 作るものは、あくまでもアクセサリー。「置き物ではなく、身につけてもらえるものを作りたい。パーティーやウエディングなどここぞという時に、さり気なく“自然”を身につけてもらいたい」と話す。


〈手編みアクセサリー作家〉  藤田 美帆(ふじた・みほ)
http://fujitamiho.petit.cc/
※作品は、まど枠(秋田市大町)で展示販売しています。