| 健康を考える〔インフルエンザ〕 |
|
|
今年ももうすぐインフルエンザの季節です。インフルエンザは流行性感冒と言われますように感染力がとても強く、ごく短期間に家族・学校・職場の大多数の人がかかってしまうことも珍しくありません。 高熱・頭痛・筋肉痛・全身倦怠感などの全身症状が強く、高齢者や重い内臓の病気のある人がかかりますと重症化して生命を脅かすことさえあります。 今回は「かぜの王様」インフルエンザについてお話ししたいと思います。 |
インフルエンザを起こすのは直径が1ミリメートルの約1万分の一という小さな小さなウイルスですが、これにはA、B、Cの三つの型が知られています。流行を起こすのはA型とB型で、A型は世界的な大流行をおこすこともあります。昨シーズンはA型の中のA香港型が広がり、その後引き続いてB型がはやったために流行が春先まで続きました。
「インフルエンザには どうして何回もかかるの?」
同じウイルス感染症であるはしかや風疹などは、一度かかるとその後二度とかかることはありません。これは一度ウイルスに感染すると体内にそのウイルスに対する抗体ができて、再び同じウイルスが体内に侵入するとこの抗体がウイルスをやっつけてくれるからです。ところがインフルエンザウイルスは毎年少しずつその形を変化させていきます。少しくらいの変化であれば以前のインフルエンザに対する抗体がある程度対応してくれるのですが、この変化が蓄積されて大きくなりますと以前の抗体はきかなくなってしまいます。また突然大きく変化した新型ウイルスが出てくることもあります。そのため何度もかかってしまうのです。
「かかってしまったら?」
残念ながらすぐに治せるような治療薬はまだありません。できるだけ安静を保って体力の消耗をさけること、発熱と食欲の低下で脱水症状になり易いため水分を十分にとることが大切です。高熱や激しい咳のために体力が消耗するようでしたら、解熱剤や鎮咳剤で症状を柔らげることも必要です。また心臓病や腎臓病、慢性の肺疾患などのある方は病状の悪化をきたすことがありますので、早目に診察を受けることをおすすめします。
「予防法は?」
確実な予防法はありません。流行時期にはできるだけ人込みを避ける、外出から帰ったらうがいをして手は必ず洗うといった注意で感染の機会は減らすことができます。しかしより有効な予防法となりますとワクチンの予防接種でしょう。100パーセント感染が予防できるわけではありませんが、肺炎や脳炎、心筋炎などの重篤な合併症が防げますし、たとえかかったとしても症状は軽く済むと言われています。現在のワクチンは皮下に接種しますが、鼻孔内に噴霧するタイプのワクチンの開発もすすめられています。このワクチンは鼻やのど、気管支の表面に分泌されるIgAというタイプの抗体の産生を促しますので、インフルエンザウイルスの体内への侵入を最初の段階で防ぐことが可能となりますから、実用化されれば注射の痛みもない、より有効な予防手段となることが期待されます。
医療法人明和会 大曲中通病院 佐藤 幸美