秋田県医師会 小山田医院 小山田 雍

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 冬が近づくと、またインフルエンザが心配です。
”流行性感冒“や”集団かぜ“という用語がありますが、インフルエンザは、いわゆる”かぜ“とは全く別のもので、はるかにひどいものです。
 今世紀、数10年毎に大流行があり、最初のスペインかぜ(1918年)では、世界中で2,000万人から4,000万人が死亡したといわれ、アジアかぜ(1957年)、香港かぜ(1968年)、ソ連かぜ(1977年)でも、多くの人々が亡くなり現在も流行を繰り返しております。
 日本でも、インフルエンザは毎年必ずやって来て全人口の10人から20人に1人がかかります。
 厚生省の調べでは、前々回の冬は、園児、小中学校の児童生徒の患者数が127万人で過去10年間で最多でしたし、前回も3月末までに86万人を数えました。
 インフルエンザには、ウイルスの型により、A、B、Cの三種類がありますが、問題となるのはA型とB型です。
 A型インフルエンザの型は、ウイルスの表面にあるH(血球凝集素)とN(ノイラミニターゼ)の型により、その組み合わせで表します。
 最近はソ連型(H1N1)、香港型(H3N2)にB型が加わって流行しており、これらを予防するワクチンが作られています。
 インフルエンザは潜伏期が一日から三日と短く、人から人へとどんどん感染し、短期間で流行します。
 鼻や、のどからウイルスが入ってきますが、全身への影響や発熱が一段と激しく、せき、はな、のどの症状のほか、だるい、あちこちが痛い、食べられない、など体力の消耗が激しい病気といえます。
 そろそろインフルエンザのシーズンですが、毎年のことと侮らず無事にこのシーズンをのりきりたいものです。


  「インフルエンザを侮ってはいけません」


 インフルエンザウイルスは呼吸器から入ってきますが、全身への影響が強く脳(脳炎、脳症)、心臓(心筋炎)、肺(気管支炎、肺炎)の重大な合併症や筋肉、血液、耳、鼻などにも異常を引きおこすことがあり、決して油断はできません。
 前回のシーズンには不幸にも全国で約1,300人もの人が亡くなり、そのなかでも65歳以上の高齢者が86%を占めました。
 子どもで怖いのは、インフルエンザ脳炎、脳症です。
 このインフルエンザ脳炎、脳症は毎年100人から200人に起こると推定されていますが、前のシーズンには217人に起こり、そのうちの約80%が5歳以下の子どもでした。
 また、脳炎、脳症になった人全体の約三分の一の方が亡くなっています。
 このようにインフルエンザは決して侮れない病気で、とくに高齢者と乳幼児は一層の注意が必要です。

  「対策の最大の手段はワクチン」

 人混みをさける、マスク、うがい、手洗い、などインフルエンザを防ぐ一般的なことはよくいわれますが、最大の手段はワクチンです。
 欧米の国々では、インフルエンザに対してワクチンの予防効果や、かかったとしても軽くてすむ効果が認められており、対策の中心はワクチンです。
 とくに高齢者や、その施設に入っている方、元に病気のある方などの接種が積極的に行われています。
 日本では、平成6年にインフルエンザが予防接種法から除かれ、またインフルエンザの怖さについての理解が必ずしも定着したとはいえず、ワクチンの接種は積極的ではありませんでした。
 しかし前に記したように、多数の死亡者や脳炎、脳症が報道され、しかも毎冬のこととなると見過ごすわけにはいきません。
 とくに、高齢者や子どもに対するワクチン接種の重要性について認識を高めることが必要です。
 今シーズンも必ずインフルエンザがやってきます。
 猛威をふるわないよう願うものですが、冬の到来の前にワクチン接種について、医師と相談することをお勧めします。
 また、昨年から、アマンタジンという薬が使用されるようになり、これはA型にだけ有効な薬ですが、初期にタイミングよく使えば効果が期待できます。


 「インフルエンザにかかったら」

 インフルエンザウイルスは低温と乾燥(冬季)の環境を好みます。
 体は低温、乾燥とならないように、保温して水分を充分とり、休養することが大切です。
 高熱は四日から五日続き、一旦解熱した後に、再び発熱がくることもしばしばみられます。
 解熱剤は病気本来をよくするものではなく、あくまでも一時的に気分を和らげるもので、発熱を押さえ込んで病気を治してしまうものではありません。
 頻繁に使って体温の上昇と下降をくりかえすことにより、かえって消耗することにもなりかねません。
 医師の診察を受け、くすりや生活についてよく理解して、治療することが大切です。