中通総合病院・神経内科 加賀谷 肇

秋田県医師会
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 頭痛。それ自体は症状の一つに過ぎませんが、日常診療の中で、最も多い症状の一つです。患者さんにとっても厄介で「頭痛の種」ですが、いろいろな頭痛のことを知っていると無用な不安を覚えず、かかりつけ医や主治医に相談すれば、対処して頂けると思います。
 頭痛には緊張型頭痛と片頭痛(血管性頭痛)のような機能的頭痛と、ほかに原因があって起こる二次性頭痛(風邪、目・鼻の病気、くも膜下出血など)に分けられます。二次性の頭痛にはくも膜下出血、脳腫瘍、髄膜・脳炎など命にかかわる危険な頭痛もあります。

 最も多い緊張型頭痛

 緊張型頭痛は頭痛の六〜七割を占め、最も多いタイプです。中高年に多く、男女差はありません。
 頭痛の症状は肩凝り・首筋の張り、後頭部を中心に締め付けられる、帽子をかぶったような、鉢巻きをしたような痛み(バーンとした・ジーンとした)、頭重感が特徴です。強くなると頭全体に広がり、目がショボショボしたり、嘔気・嘔吐、ふらつき、めまい感を伴います。
 誘因として不安、抑うつ、ストレス、不眠、精神的緊張などの精神的要因と、うつむいて長時間仕事をするなど物理的要因が考えられています。
 それらにより、頭頚部をとりまく筋肉(首筋・肩を含め)が持続的に収縮し、筋肉の血の流れが悪く、老廃物がたまり、痛みが生じて凝りの状態、つまり頭痛となります。治療は筋の緊張をほぐすためにマッサージ、温湿布、入浴や適度な飲酒も有効です。症状が強ければ薬物療法(筋弛緩剤、安定剤)が必要となります。
 また、ストレスをいかに上手にコントロール(精神的リラックス)するか、仕事や日常生活をいかに楽しく、有意義にできるかも大切な治療のひとつです。


 片頭痛

 片頭痛は頭痛の原因の約二割を占め、二十〜五十歳の若い女性に多く、閉経後に和らぐことが多いようです。片頭痛の原因ははっきりしませんが、初めに脳の血管が収縮したあとに、脳血管が拡張するために、血管のまわりの神経が刺激されて頭痛が起こります。
 典型的片頭痛の場合は頭痛が生じる前に、前駆症状としてチカチカ光り、視野が欠損する「閃輝暗点」が二十〜三十分続いた後、嘔気・嘔吐を伴い波打つようなズキズキ・ガンガンする拍動性頭痛に襲われて一〜二時間で軽くなります。
 しかし、前駆症状のない普通型片頭痛の方が多くみられます。痛みが最高潮に達したときは普通の鎮痛剤では効果が少なく、発作が始まったら初期からエルゴタミンの投与が有効です。軽い頭痛の場合は普通の鎮痛剤でも効果があります。入浴、飲酒は頭痛を悪化させ、頭を冷やすと一般に楽になります。
 片頭痛はストレス、不眠、生理前後に起こりやすく、チョコレート、チーズ、赤ぶどう酒なども誘因とされていますので避けてください。


 危険な頭痛

 何年も続く頭痛は一般に危険なものはありません。頭痛が強くなると、脳の恐い病気ではないか、生命にかかわる頭痛ではないかと心配になります。
 いつもと違う頭痛の場合は、くも膜下出血、脳腫瘍、脳出血、慢性硬膜下血種、髄膜・脳炎など危険な頭痛の可能性が考えられますので医療機関を受診すべきです。
 特に、○時○分に「突然金槌で殴られたような」ガーンという、今まで経験したことがないような頭痛の場合は脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血が疑われますので、直ちに救急病院で検査を受けることを勧めます。翌日まで待っていられません。
 慢性硬膜下血腫、脳出血は一般に片麻痺を伴い、髄膜炎・脳炎では発熱を伴う強い頭痛がみられることが多いので推測できるでしょう。
 脳腫瘍は頭痛の原因として有名ですが、必ずしも頭痛があるとは限りません。また、脳腫瘍は緊張型頭痛に似た症状を呈することもあり、経過がおかしければ、「たかが頭痛」と片付けないで検査(MRI・CT)をしてもらいましょう。


 こんな頭痛もあります

 脳以外の病気による頭痛もあります。急性の緑内障発作は眼窩から前頭部の頭痛がみられ、知らないで放置していると失明することもあります。急性副鼻腔炎(蓄膿症)でも前頭部を中心としたひどい頭痛が起こることがあります。
 顎のかみ合わせが悪いと顎関節症といって、頭痛、肩凝り、めまいなどさまざまな症状をだすこともあります。一側の顔面、後頭部に間隔をおいたピリピリと走るような痛みが続くときは三叉神経痛、後頭神経痛が疑われます。


 鎮痛剤(頓服)の連用にご注意!

 慢性の頭痛、特に緊張型頭痛では、いわゆる頭痛薬は一時的に有効ですが、原因の治療ではないので、毎日飲み続け量が増えて、やめられなくなります。どのタイプの頭痛か診断し、治療してもらうことで、頭痛のない快適な生活を送ることができると思います。