医療法人 伊藤内科医院 伊藤 良

秋田県医師会
役に立つ“健康情報”を
インターネットホームページでご覧ください。
URL http://www.akita.med.or.jp/

  食中毒にはどんな種類があるの?

 食中毒は、毒キノコやフグ毒などによる自然毒食中毒、メタノールなどによる化学物質食中毒、各種細菌による細菌性食中毒の3種類に大別されます。さらに細菌性食中毒は、摂取された菌がヒトの腸管内で増殖して発症する感染型食中毒と、すでに食品の中で産生された毒素によって発症する毒素型食中毒に分類されます。

  細菌性食中毒の発生状況は?

 食中毒のほとんどは集団発生することが多い細菌性食中毒で、散発発生が多い自然毒食中毒と化学物質食中毒を合わせても食中毒患者総数のわずか2%にしか過ぎません。最近数年間の食中毒の発生状況をみると、平成8年の発生件数、患者数、死者が最も多く、この年は最悪の結果を招きました。これは、言うまでもなく腸管出血性大腸菌O―157による集団食中毒が日本各地で発生したことによるものです。一方、細菌は温暖な環境を好むものが多いので、年間を通した発生件数でみると5月から10月までの半年間で80%の発生がみられます。


 どんな菌による食中毒が多いの?

 食中毒を引き起こす細菌として、サルモネラ、ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌、カンピロバクターなどが知られています。これらのなかで常に発生頻度も患者数もサルモネラが1位で、それに次いで腸炎ビブリオと病原性大腸菌が2〜3位を争っている状態です。また、死に至るような恐ろしい菌はサルモネラとO―157を含む腸管出血性大腸菌です。
 
  細菌性食中毒の診断と治療

 細菌性食中毒は、本来は検便による細菌同定検査を行い、その原因菌に応じた治療をするのが原則です。しかし菌の同定には2〜3日かかります。一般に細菌性食中毒は激しい下痢や腹痛、また高熱を発することも決してまれではないので、菌が同定されるまで手をこまねいているわけにはいきません。したがって下痢、腹痛、発熱、嘔吐など現在までの症状やここ数日間の飲食歴、さらに海外への渡航歴の有無などを聴取することにより、原因菌を想定しなければなりません。また、細菌性食中毒患者のほとんどが下痢症状を訴えます。激しい下痢により脱水症状が見られる場合には、経口的に水分やミネラルを補給しますが、それができない場合は輸液による水分補給が治療の第一歩です。同時に抗菌薬の投与も必要となります。

  細菌性食中毒の感染をふせぐには

 細菌性食中毒は、細菌に汚染された食品を経口的に摂取することにより感染します。その予防法として以下のことが考えられます。

(1)食材の注意
   生野菜は流水による洗浄を徹底すること。また肉類や冷凍食品は十分に加熱すること。

(2)調理器具の管理
   熱湯と塩素酸ナトリウムにより清潔に管理すること。

(3)調理人の衛生
   手にふれた食材が変わるごとに手洗いを励行すること。

(4)調理後の食品の管理
   缶詰や瓶詰、さらに真空パックの中でも増殖する菌があるので、調理した食品は速やかに食べること。