秋田県医師会 みゆきレディースクリニック 谷頭 幸

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 十代から五十代の前半まで、多くの女性の方が約四十年の間お付き合いしなければならない月経ですが、その間不快な思いを経験することが少なからずあると思います。
 今回は女性ホルモンの変化に対する女性の身体の反応によって様々な症状を起こすといわれている月経前症候群と更年期障害についてお話しします。


  月経前症候群

 二十代から四十代前半までは女性ホルモンの分泌もピークとなってホルモンの働きも活発です。ところが、月経はきちんときてるのに、それによってかえって不快な症状に悩まされることもあります。
 月経前症候群とは、月経開始の三〜十日前から始まる精神的、身体的症状で月経開始とともにそれらが消失していくものをいいます。排卵後に分泌される黄体ホルモンや微妙に変化する他のホルモンのバランスによって自律神経や身体の変調を起こすとされています。
 精神的な症状とすると、イライラ、不安、落ち込みのほか悲観的な考え方になりやすくなったりということがあります。また、集中力の低下、日常の仕事や趣味などへの興味の減退などもあります。眠気が強くなる方と、反対に不眠になることもあります。食欲の亢進もあります。
 身体的な症状とすると、身体のむくみ、頭痛、肩こり、めまい、乳房痛、腹部膨満感、肌あれなどがあげられます。気になる症状のある方は、ご自分の症状が起きた日と、月経の周期を記録してみることをおすすめいたします。不快な症状が月経の前に集中している場合には月経前症候群が考えられます。このような症状は三〇〜八〇%と、弱い症状を含めるとかなり多くの方が自覚するといわれています。


  ホルモンの影響

 たいがいの方はホルモンの影響でその症状がおこっていることを認識し、なるべく対外的な活動を控えて、ゆったりした生活のリズムに変更することで様々な症状とおつき合いできるようになります。治療の対象となるのは普段の生活や仕事などに支障が起こる方とされています。たとえば、イライラから不必要にお子さんを叱りつけてしまったり、ご夫婦の円満な関係や家事に支障が起こる場合、仕事や対人関係に支障がでる場合などです。そんな方は専門の病院にご相談いただくことをおすすめいたします。
 たいがいの方は自分の性格の問題として悩んだり、何か病気があるのではといった疾病への不安を抱いていることが多いと思われます。ホルモンに翻弄されているだけとわかっただけでも不安が取り除かれて、治療を必要としない場合もありますが、対症療法としての薬物療法や、漢方療法、全般的な症状改善のために、ホルモンの調整療法をする場合があります。

 
 更年期障害

 最近では、更年期障害というのもかなり知られてきましたが、更年期障害というのは、閉経前後のホルモンの減少によって起こる様々な症状がでる時期をいいます。長い方ですと閉経前後の十年にもおよびます。女性ホルモンは他にも骨粗鬆症、コレステロールの代謝等にも関与しているといわれています。女性ホルモンは卵巣の機能の減退によって四十五歳くらいより急激に減少してきます。それでも、脳の中の間脳というところではこれまで通り女性ホルモンを分泌しようとして卵巣に対する刺激を与え続けます。ホルモンを分泌させるところと自律神経をコントロールする場所は同じ間脳にあります。排卵させようと間脳が刺激をどんどんエスカレートさせますので、その部分がオーバーヒートしてしまって自律神経のバランスまで狂ってしまい、様々な症状がでるのです。
 症状としますと、発汗、動悸、肩こり、筋肉痛、関節痛、腹部膨満感、膣分泌物の減少による膣・外陰部の違和感、頻尿などの身体症状のほか、不眠、イライラ、落ち込み、無気力などの精神症状などがあります。いずれにしても、ご本人はこれまでの自分らしさがなくなって不安がつのっていくのに、比較的、身体症状がはっきりしないものばかりなので、周囲にはただ元気がない、怠け病とうけとられがちです。また、うつ病や不安神経症など、精神神経疾患と症状がだぶってしまう場合がありますので鑑別には注意が必要です。
 症状がでるのは全体の四〇〜六〇%といわれており、治療を要する方はその半数程度といわれています。更年期の年代というのは、お子さんの進学、就職、ご結婚やご主人の定年など周囲の環境もかわりやすい時期でもあり、身体的にも疲労が蓄積したり、精神的にも不安定になりやすい時期といえると思います。そんなことがきっかけになって症状がでてくる場合もあります。

  治療法

 治療には漢方薬が有効な場合もありますし、ホルモン補充療法というのも最近では積極的に行われるようになってきました。精神神経症状が強い場合には抗精神薬を一時的に併用する場合があります。ホルモン療法をおこなってもなかなか症状がとれない場合には、精神神経科の専門の医師との治療の連携も考えていきます。
 いずれにしても、これまでの自分らしさがなくなって、なかなか元に戻れない方は、一度専門医にご相談していただくことをおすすめいたします。