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毎年冬になるとインフルエンザが流行します。このインフルエンザは、人類が数千年前から経験している最も身近な感染症の一つで、普通の風邪としばしば混同されます。でも普通のカゼでは、のどが痛む、鼻がむずがゆい、鼻水が出る、咳やくしゃみが出るといった軽い症状が中心ですが、インフルエンザでは39℃以上の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身のだるさなどの全身症状が強く現れるのが特徴です。また、気管支炎や肺炎、小児では脳炎・脳症といった重篤な合併症をひき起こしやすく、高齢の方や基礎疾患をもった人など、免疫力の低下した人では、最悪の場合死亡することもある恐ろしい病気です。さらに感染力が極めて強く、古くはスペイン風邪の大流行(一九一八年)が有名ですが、わが国の最近の例では、平成九年から十年にかけて百二十七万人の患者が発生したように、爆発的に流行する侮れない感染症です。
インフルエンザウイルスは、ウニのように表面にトゲ状の突起を持った、一万分の一ミリの非常に小さな多形性の物体です。この突起にはHとNの二種類があり、その組み合わせからA型、B型、C型に分類されます。現在ヒトの社会で流行し問題となるのは、A/ソ連型、A/香港型、B型の三種類です。しかし、ウイルスの違いがあっても症状に大きな違いはありません。
インフルエンザにかかった人の咳などで、空気中に飛び散ったウイルスが周りにいる人に吸い込まれ、鼻やのどなどの気道粘膜に入ってうつってゆきます。
なぜ冬にはやるのでしょう
気温と湿度がウイルスの生育に都合がよく、人間には不都合であることが原因です。
まず気温と湿度の影響です。インフルエンザウイルスを21〜24℃の室温・湿度50%の環境に噴霧したとき、六時間後にはウイルスは3〜5%しか生きていませんが、7〜8℃で湿度22〜25%の場合、六時間後でも63%が生きていたという実験結果もあります。このように長時間にわたって感染力を持ち続けて空気中を漂いますから、ウイルスには寒く乾燥した冬が、わが世の春なのです。
一方、私たちの鼻やのど、気管など、気道粘膜の表面には、線毛という細かいブラシ状の組織がすき間なく覆っていて、細菌や痰を体の外に送りだす作用をして体を守っています。でも寒い空気が入ってくると粘膜の血管が反射的に縮んで粘膜の温度が低下しますし、乾燥のため分泌物が濃くなり線毛の働きが悪くなります。そこにインフルエンザウイルスが感染すると増殖して、次々と粘膜の細胞を破壊していきます。このような傷んだ細胞では、細菌や痰を体外へ押し出す力がなくなってしまいます。これに続いて細菌の感染がおこり、気管支炎や肺炎が起こってしまうのです。また、冬は暖房のため部屋を閉め切っていて、換気が悪いのもウイルスの感染には都合が良いのです。
予防はどうしますか
ふつうの風邪と同じく、一般的な予防法は、十分な栄養と休養、人込みを避ける、室内の乾燥に気をつける、マスクをする、家へ帰ったら手洗い・うがいをすることです。しかし、ワクチン接種が一番の予防法です。
ワクチンはいつごろしますか?またその効果は?
ワクチン接種後、抗体価が上がって予防効果が現れるまでには二週間程かかります。一方、流行のピークは一、二月ですから、抗体価が高まるまでの期間を考えると、十一月ごろに接種することをお奨めします。一〜四週間の間隔をおいて二回接種することになっています。小児や六十五歳以上の方、心臓や肺の疾患、腎臓病などの基礎疾患のある方は、決め手となるインフルエンザの治療法がないので、接種されることをお奨めします。予防接種は、脳症・脳炎の予防、重篤な合併症や死亡を予防できることが期待されています。
インフルエンザにかかってしまったら
治療の特効薬はありませんが、A型インフルエンザにだけアマンタジンという薬が使用されています。発症後四十八時間以内に使えば効果的ですので、早めに受診して下さい。また、解熱剤は一時的な効果しかなく乱用してはいけません。とくにアスピリン製剤を自己判断で使用するのは危険です。保温・加湿・十分な水分補給をし安静にし、医師の診察を受けて正しく治療することが大切です。
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