秋田県医師会 小松 眞史

秋田県医師会
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C型肝炎とは

 C型肝炎ウイルスの感染によりC型急性肝炎が発症します。急性肝炎の症状は発熱や全身倦怠感、食欲不振、黄疸などですが、C型ではA型肝炎やB型肝炎に比べ自覚症状に乏しいことが多いようです。この急性期に約三割の人はウイルスが体から自然に排除され急性肝炎は治癒しますが、約七割の人たちが慢性化します。慢性化したすべての人が肝機能検査値の異常を示すわけではなく、異常を認めない無症候性キャリアの人たちも存在します。しかし、無症候性キャリアの中にはその後の経過で肝機能検査値の異常が再出現する例が少なからずみられますので油断できません。肝機能検査値の異常が続きますと線維化も高度になり、中には肝硬変へ移行する症例がみられます。C型肝硬変は高率に肝細胞ガンを合併します。C型肝炎ウイルスの初感染から肝硬変までは平均二十〜二十五年、肝細胞ガンまでは二十五〜三十年と報告されています。

C型肝炎ウイルスとは

 一九八九年に発見されたウイルスで、日本の感染者は百五十万〜二百万人と推定されています。C型肝炎ウイルスの保有率は地域により異なり、東日本に比べ西日本地域で高く、また肝細胞ガンによる死亡率も西日本地域で高率です。
 このウイルスは肝細胞に親和性を有し、主に肝細胞で増殖し、肝細胞破壊を引き起こします。血液を介し感染し、感染のきっかけとして輸血などの医療行為、刺青、注射針を共有する覚せい剤の回し打ちなどが上げられます。出産時に母親から新生児に感染するいわゆる母子感染は、C型ではB型肝炎ウイルスに比し低く約10%前後と報告されています。また、夫婦間の感染も低率です。日常生活において歯ブラシや髭剃りなど血液が付着する可能性のある日用品の共有は避けるべきですが、食器の共有や風呂などでの感染はありません。
 C型肝炎の人たちの約四割が過去に輸血を受けた既往があることから、C型肝炎ウイルスの診断法が開発される一九八九年以前は輸血が主要な感染経路であったと推測されます。日本赤十字血液センターでは一九八九年十一月からすべての供血のスクリーニングにHCV抗体測定(第一世代抗体)を導入しています。一九九二年二月には特異性や感度のより高い第二世代抗体測定系に変わり、さらに、一九九九年十月以降はHCV遺伝子の検索も導入され、かつて猛威を振るった輸血後C型肝炎の発症はみられなくなりました。 

秋田県の肝硬変、肝細胞ガンの成因に及ぼすC型肝炎の関与

 一九九一年から九七年までの七年間に秋田県内の五病院(秋田大学附属病院、市立秋田総合病院、仙北組合総合病院、公立横手病院、雄勝中央病院)の消化器内科で診断された肝硬変764例(うち肝細胞ガン合併281例)を対象にした成因についての検討では、肝硬変全体ではB型が約11%、C型が54%、アルコール性が21%でした。同時期に報告された全国の肝硬変11187例の成因はB型が約12%、C型が65%、アルコール性が13%であり、秋田県ではC型がやや少なく、アルコール性の割合が多いことを示しています(図1)。このことは秋田県ではC型肝炎ウイルス保有者がやや少ないことと、成人一人あたりの100%エタノール消費量が約10.1rで全国平均8.6rを大きく上回る最多飲酒県のひとつであることが影響しています。秋田県の肝細胞ガンの成因はB型12%、C型72%、アルコール性7%でC型肝炎ウイルスの関与が極めて大きいことがわかります。

C型肝炎の治療

 C型肝炎ウイルスを排除できる現時点での唯一の治療法はインターフェロン療法です。インターフェロンの作用として抗ウイルス作用、免疫調節作用、抗腫瘍作用などが知られています。インターフェロン治療終了後、約30%の人たちではウイルスが陰性化し、肝機能も正常化します。10〜15%の人たちはウイルスは陽性ですが、肝機能の正常化が持続します。つまり40〜45%の人たちの経過は良好です。その他の人たちでもインターフェロン非治療例に比し肝細胞ガンの発生が抑制されるとの報告もなされています。
 インターフェロンの治療効果はウイルスの遺伝子型やウイルス量、肝臓の線維化の程度などにより左右され、そのため治療前にその効果をある程度予測できます。難治性が予測される例に対しては治療効果の上昇が期待できるリバビリン(インターフェロンとの併用薬)が今後保険で使用できることになっており期待されます。
 インターフェロン治療時の副作用として発熱、悪寒、頭痛、関節痛、食欲不振などインフルエンザにかかった時のような症状が治療開始後一週間は強く出ますが、解熱鎮痛剤などでコントロールできます。
 その他の肝臓病治療薬はウイルスの排除はできませんが、肝障害の程度を軽減させ、肝炎の進行を抑えることが期待されます。その中で、静脈注射剤のグリチルリチン製剤は肝機能検査値の改善効果が優れています。ウイルスが排除されなくとも肝機能検査値が正常化している人では肝細胞ガンの発症は極めて低いことが報告されており、インターフェロン無効例に対してはグリチルリチン製剤などによる治療を積極的に行うべきと考えます。

最後に

 C型肝炎はわが国の肝硬変や肝細胞ガンの最大の原因です。幸いなことにC型肝炎の基礎的、臨床的研究は急速に進み、その病態解明の進展や治療法の開発も進んでいます。また、今回は紙面の都合で紹介できませんでしたが、肝細胞ガンについても新しい診断法や治療法が開発され、予後の改善と共に生活の質の向上も期待されています。