秋田県医師会 田村 広美

秋田県医師会
役に立つ“健康情報”を
インターネットホームページでご覧ください。
URL http://www.akita.med.or.jp/

 セミの声が聞こえるようになると夏も本番。七月になると夏休みが近づいてくる足音が聞こえるような気がして、一日ごとにわくわくしたものでした。もう夏休みはないけれど、不惑の年を過ぎた今でも夏が来ると心が弾みます。

カンカン照りの日は注意!

 「帽子をかぶらないとニッシャビョウになるよ!」夏になるとよく言われたものでした。当時、ニッシャビョウとはなんだかよくわかりませんでしたが、とにかく恐ろしい病気のような気がしてあわてて玄関で野球帽をつかんででかけました。ニッシャビョウが日射病だとわかったのはだいぶ後で、日射病が熱中症とよばれる熱によって引き起こされる急性の傷害の中の一つだとわかったのは医者になるころでした。
 熱中症は日射病、熱けいれん、熱疲労、熱射病などに分類されますが、日射病はその中でも太陽光線の直接照射により、冷や汗をかいたり、頭痛、めまいといった症状を起こすものです。熱中症はいずれも予防が大切で、帽子をかぶり、通気性の良い衣服で、水分塩分を十分に補給するようにしましょう。遊びやスポーツも途中で休憩を取るようにして、長時間にわたり高温、多湿の環境にいるのを避ける注意が必要です。

虫にさされたら…

 夏は冒険の季節でした。探検と称し、藪の中を歩き、虫を捕まえ…これは今の子供も同じようです。なぜわかるって?子供の冒険の季節は子供の皮膚病の季節でもあるからです。虫に刺され、蛾や毛虫にかぶれ、草や枝で小さな切り傷、擦り傷をつくって、そんな子がたくさん外来にやってきます。虫さされやかぶれはまず刺された箇所をきれいに洗い、かゆみ止め、炎症止めの軟膏を塗りましょう。ただ、蛾の粉や毛虫の毛は注意が必要です。そのままこすってしまうと皮膚にますます傷がついてしまいます。絆創膏などの粘着テープで残っている粉や毛を取り、泡立てた石鹸の泡で洗い流します。
 蜂に刺されたときは、刺されたあとしばらくは気をつけて様子をみていてあげてください。刺された箇所がすこし腫れている程度ではあまり心配はいりませんが、蕁麻疹(じんましん)が広がってきた、息苦しい感じがするといったときにはすぐにお医者さんへ急ぎましょう。山奥など人里離れた場所で刺されたときは、お医者さんに近いところまで戻ってきて様子を見るのが安全です。
 ”虫に刺されたときは、かゆくても引っ掻いてはいけない“これは誰でも知っていますが、守れる子供は誰もいません。あまり引っ掻いていると、とびひになります。爪で皮膚が傷つくとそこから細菌が入って感染するわけです。とびひになると皮膚がぐちゅぐちゅして「つゆ」が出てくるようになりあちこちに広がります。すなわち身体のあちこちに飛び火するわけです。子供の爪は短く切り、早めに薬をもらいあまりひどくなる前に治しましょう。

おなかをこわしたら水分補給を

 アイスクリームも夏の大きな楽しみです。今では年中食べられますが、暑い夏に食べるおいしさは格別です。かき氷となるともう夏以外考えられません。でも、おいしいからといって冷たいものばかり食べていると、おなかの調子を崩したりします。実は夏は食中毒の季節でもあり、下痢は夏の病気の一つです。
 下痢をしたときにもっとも大切なのは、水分補給です。たまに『飲ませると下痢をするので飲ませないようにしているんです』というお母さんがいますが、これは逆です。下痢がひどいときほどたくさん水分を取らないと脱水が進み、ますます具合が悪くなってしまいます。江戸時代、コレラ(当時は「ころり」と呼んだ)がはやったときに点滴で水分を補う方法があれば、亡くなる人はもっともっと少なくて済んだでしょう。水分を補給するというのはとても重要なことで、脱水というのはひどいときには命まで奪ってしまうということです。
 とは言ってもおなかをこわした子がごくごくと飲める場合は少ないので、スポーツドリンクやお茶、湯冷まし、さらさらのジュースなどを少量ずつ頻繁に与えましょう。食事は無理をせず、おなかがすいて食欲が出てきたらお粥など消化のよいものを少しずつあげましょう。
 夏は子供にとって新たな冒険、発見の季節です。体調を整え、近所のお医者さんを上手に利用し、アドバイスをもらいながら輝く季節を楽しく過ごしましょう。